ただの相談役　気まぐれブログ

一棟一棟　手仕上げ住宅
倉敷茶屋町ユーリン・ホーム。

昨日　京都のＴの奥さんから
電話をもらった。

年末に珈琲豆を送って頂き
その折
手首が痛くて賀状を出せない旨
断り状が入っていた。

「明けましておめでとうございます」

「おめでとうと言って
ええもんどすやろかと思うほど
お正月早々から
難儀な事がたんとありましたけど
倉敷は地震はどうどしたえ‥‥」

「私は感じなかったぐらいの揺れでした‥‥
京都はそんなにひどかったですか？」

「うっとこのお父ちゃんのお位牌が
引っくり返らはるほど揺れたんどすぇ」

昔
『Ｔからの電話』という原稿用紙1枚の
小文を書いたことがある。

　Ｔから電話があった。高校の同窓で
ラグビー部のキャプテンだった奴だ。
「オマエにだけは言うとこ、と思て
なあ」
　ガンになったという。腰が痛かった
が、持病だと我慢をしていたら、
ある日起き上がれなくなり、病院に
運ばれて分かったらしい。
　何ガンかと聞くと、「何ガンも
クソもあるかいな、いろんなとこに
転移してもうとるわ」
　手術の施しようがなく、抗がん剤で
ガンを抑えているのだという。最近、
杖にすがってやっと歩けるように
なったそうだ。
「相変わらずアホじゃのう、はよ医者に
行かんからや」「ワシもそう思うわ。
そやけど、なったもんはしょうがない
やんけ。ガンを相手に、もうひと頑張
りしたるんや」
　昔から、前向きで楽天的な奴
だった。やんちゃで自己主張が強く、
協調性の乏しい部員を束ねていける
奴は、Ｔしかいなかった。
『なんでアイツが・・・』

正月に賀状はきたが
近況も書いていなかった。

いつものＴらしくないと思っていたら
奥さんから電話をいただいた。

年末の12月31日に逝ったそうな。

10年前のことだった。

亡くなった主人の友の安否を
ワザワザ尋ねてきてくれる
Ｔの奥さんの優しさに
目を閉じて想った。

『もう一回Ｔと
酒を飲みたかったのぅ～』